エイサー
とは、沖縄本島で古くから行われている盆の民俗芸能であり、
本土でいうところの盆踊りに例えられるものです。

その意味や起源ははっきりとは、分かりませんが、
踊り念仏を起源に持つと言われ、現在でもほとんどのエイサーが、
念仏歌を曲目の一部に使用しています。
旧盆の終わりを向かえて、あの世へ帰っていく祖霊を、
太鼓を叩いて送り返しているのだ、など様々な説があります。

当初は念仏だけで行われていましたが、
次第にその時代に合わせた民衆のはやりうたをとりいれ、
踊りに工夫をこらし、独特の芸能となって行きました。

沖縄本島のなかでも、地域ごとにそれぞれまったく異なるスタイルがあり、
音量を重視して
大太鼓を多く使用し、スピード感にあふれる演舞を行う地域や、
ゆったりとした曲を中心に、
パーランクーと呼ばれる小型の太鼓で、
厳かな雰囲気の演舞を行う地域、ほとんど太鼓を使わず、
三線にあわせて手踊りをする地域など、さまざまなエイサーが存在します。

現在では、旧盆にそれぞれの地域を練り歩く以外にも、
大規模なエイサー祭りがいくつも催され、
各地域の青年たちが競い合い、エイサーの変化の一要因にもなっています。


また、三線による沖縄民謡に合わせて踊るスタイルではなく、
現代的な音楽にあわせてアクロバティックな踊りを見せるエイサーも有ります。
伝統的な行事としてのエイサーとは区別する意味で、
創作エイサー”などと呼ばれます。


エイサーの構成要素

イヤササ!  太鼓
 (テークチリ)  
主に男性が担当し、
大太鼓、締め太鼓、パーランク
などの種類があります。
激しく踊りながら太鼓を打ち鳴らす姿は、
エイサー隊の花形です。

新風エイサーでは、
大太鼓と締め太鼓を使用します。
ハーイーヤー!  手踊り
 (ティモーイ、
 ジーヌー)
男性、女性ともに担当し、
男性は沖縄から本土に伝わったといわれる、
空手をベースにした勇ましい踊りを、
女性は琉球舞踊をベースにした独特の踊りを、
踊ります。地面に吸い付くような足さばきや、
こねり手の美しさなど見所いっぱい。
ふぃふぅふぃ! チョンダラー
(ナカワチ)
エイサーの起源の秘密が隠されている
ともいわれる、謎の人物です。
白塗りの奇妙な化粧で、指笛を吹き鳴らし、
隊列のはざまを歩き回ったり、
こっけいな踊りを踊ったりします。

その裏で、エイサー隊の全体を統率する
役目もになっている重要な存在です。
〜♪ 地謡
(ジウテー、
  ジカタ)
エイサーは民謡あってこそ。
地域一番の唄い手が地謡を勤め、
踊り手たちの影で唄い、三線を奏でています。
ひとつひとつのエイサーに違う唄い方があり、
それもまたエイサーの見所のひとつです。


新風のエイサーは本島中部の沖縄市風です。

新風エイサーでは、伝統的なエイサーのスタイルを踏襲しながら、
オリジナルの型で演舞を行っています。

編成は、旗頭、大太鼓、締め太鼓、女手踊り、チョンダラー、地謡。
スピーディな躍動感あふれる演舞と、とびきりの元気のよさが特徴です。


 
新風の演舞曲目


新風節(オリジナル曲)
仲順流り
久高万寿主
海ヤカラー
テンヨー節
遊び庭
いちゅび小
固み節
南洋浜千鳥
唐船どーい


全10曲


エイサーに良く用いられる、伝統的な民謡が大半です。
ひとつひとつの曲でどんなことが唄われているのか、
少しだけ解説してみましょう。
(分かりやすくするため、多少意訳しています)



*新風節*
新風エイサーオリジナルの入場曲です。
新風エイサーのメンバーは、沖縄県内各地、また、
日本各地から東京へとやって来て、
中野の広場で出会って来ました。
そんな沢山の人達が知恵を出し合い、
時にはぶつかり合いながら、作り上げて来たのが、
新風のエイサーです。

唄と踊りにかける新風の誇りを、
華やかなリズムに載せて唄っています。



*仲順流り*
”エイサーの魂”ともいわれる念仏歌。
幼くして親と死別した子供が、親を探して放浪し、
ついにはあの世まで旅して、親の霊と会ったところ、
盆に念仏をして自分を供養するよう頼まれる、
という、盆行事の起源となった物語を唄っています。

「エイサーエイサー、サーッサー…」
と言う囃子はエイサーを象徴するものです。



*久高万寿主*
ほとんどの場合、仲順流りとセットで唄われるエイサー専用曲。
しかし、内容は念仏とはほど遠いこっけいな唄です。
一番は、「久高万寿主(という実在した豪族?)が、
綺麗なお妾さんを探して回っているってよ。
そうかい、今宵の話は面白いなあ。」
という内容。



*海ヤカラー*
海の勇者(勇敢な漁師?)と乙女の恋のうたです。
親に隠れて忍び合ううちに、
ついうつつを抜かして夜が明けてしまい、
どうしよう?となりますが、
「二人で胸を張って親に交際を宣言しようじゃないか」
「あなたは海の勇者」
「キミは恋の勇者」
と称えあって終わります。

どうなったことやら。


*テンヨー節*
「待ちかねていた七月が来たぞ」
ほとんどの歌詞が豊作と祭りの季節が来たことを
喜ぶ内容になっています。
囃子言葉の「テンヨー、テンヨー」は、
天よ、天よの意?豊作を感謝しているのでしょうか。
謎の多い唄です。


*遊び庭*
エイサーには珍しい曲目。
沖縄演芸界のスター、前川守賢の大ヒット曲です。
遊び庭、つまり農作業を終えた人々が、
夜集まり、歌三線と踊りの遊びに興じた広場のことですが、
その楽しい風景を高らかに歌っています。



*いちゅび小*
いちゅび、とはイチゴのことですが、
ここでは”僕のいちごちゃん”というニュアンスで、
恋人のことを言っています。
「いちごちゃんに惚れて、座喜味村に通って、
通って通いたいのは喜納の番所」
様々な場所に足げしく通う情景を唄っていき、
「こんなに通っても想いが通じないんだから、
神様も仏様もあてになりやしない!」
と終わります。



*固み節*
八重山諸島に起源を持つ、風格のある祝い歌。
「あなたと二人でずっと心ひとつに、
百歳までもそのままいられますように」
”幸福を固める”という意味で”かたみ節”なのだ、
という一説があります。
幸福感にあふれた唄です。


*南洋浜千鳥*
美しい琉球音階の旋律が印象的な、ゆるやかなテンポの曲。
新風エイサーならではの世界観に拘った曲目です。

故郷を離れて旅をするひとが、
浜で眠ろうとして、親といた頃を思い出します。
淋しい光景のなか、
砂浜では千鳥がチュイチュイと鳴いています。

故郷を偲ぶ思いを唄った古謡「浜千鳥」の歌詞に、
戦後沖縄から南洋へ出稼ぎに出掛けた人々が、
新たに軽快なメロディをつけた曲とも言われています。



*唐船どーい*
沖縄、というと思い浮かぶ、
あの空中を掻き回すような踊り、カチャーシー。
そのカチャーシーの象徴ともいえる激しいリズムの曲です。
エイサーの締めに使われることも多く、
各団体にとって大きな見せ場でもあります。
新風エイサーでは、激しい囃子(ヘーシ)の応酬と、
どんどんテンポアップしてゆくリズムを特徴にしています。

唄の内容は、一番は決まって、
「唐船が来たぞ〜と叫んでも、
一目散に走らないのは若狭町村の瀬名波のおじいさん」
と言う歌詞を唄います。
中国に朝貢していた王朝時代の琉球では、
中国からの使節が到着するのは、大変な事件だったようです。
しかし、おじいさんは沖に船が見えてから、
港まで到着するまで随分時間がかかることを知っていたため、
ゆっくりと歩いて港に向かっていました。

二番以降は縁起の良い歌詞がアドリブで次々唄い継がれるのが、
この曲の面白さです。


面白いでしょ?  こんな歌詞の内容を思い浮かべながら、
 エイサーを見てみると、きっと一味違った世界が
 感じられると思います。